フィッシングラインの科学(6):特別な素材のライン

釣り糸(フィッシングライン)の対しての小考6
特別な素材の釣り糸達

 21世紀のフィッシングラインのメージャー素材は大きく見て三つでしょう。これは「ナイロン(ポリアミド)」、「フロロカーボン(ポリビニリデンフロライド)」、「PE(超高分子量ポリエチレン)」の3兄弟で今まで紹介したフィッシングライン達の素材です。実はこの三つが釣り糸の99%だと言っても嘘じゃありません。
化学工業技術が続いて発展して合繊も色んな種類が誕生しました。その中でフィッシングラインとして使える物も多く存在するが、上の3種類以外には商業的に成功した確実に目に見える合繊はまだないようです。
今回は、残りの1%のマイナーのフィッシングラインを調べてみる機会にします。また、釣り人の間に良く知られている特別な名前の、特別ようなフィッシングラインの正体も調べてみたいと思います。

マイナー素材のフィッシングライン

 昔から今まで良く使えているのにメージャーの陰に入ってそんなに見えなかったフィッシングライン、また新素材の適用されたフィッシングラインが何種類あります。

*ワイヤ(Wire)
昔の昔からフィッシングラインの一つとして広く使われている素材です。他の素材が有機物の繊維にできている事に対してワイヤは無機物の金属です。
強力な引っ張り強度はもちろん魚の鋭い歯、根ずれを防止する為に使っていました。主に石鯛釣りなどのハリスに使う例が見られます。また、鮎釣りでも極細金属糸を使う事もあります。
外形を見てみると、鉄糸単線形と非常に細い鉄糸の多い束を撚った合糸形があります。表面に樹脂皮膜を被った電気コードのように見える製品もあります。ハリスの場合、最近魚のあたりが良くなくなる事によってあまり使いません。


*ダクロン(Dacron)
「ダクロン」はアメリカのデュポン(Dupond)社のポリエステル(polyester, PET)繊維の商品名です。
ポリエステルは着物用はもちろん、その用度は非常に広い合繊で生産量も全ての合繊の中で最高です。着物市場で普通に「テトロン」(帝人と東レの商標名)と呼ばれるのもこのポリエステルです。
フィッシングラインの科学の第2回に少し書いたとおり、「最初に商品化された合成繊維フィッシングライン」がこのポリエステルです。ナイロンより遅く発明された事にもかかわらず、ナイロンが全盛期になる前まで広く使えました。合糸構造のラインでPEラインが使える前の約15年前まで深海釣りなどには道糸でよく使えるフィッシングラインでした。
最近には殆ど使えなくなったが、値段の高いPEラインの価格を落とすための混紡用とか太いケブラハリスなどのコアーの素材にはまだ使えています。
ダクロン顕微鏡写真 
PET構造式

*ザイロン(Zylon®)
定式の名称は「ポリパラーペニレンベンゾビスオキサゾル(poly p-phenylenebenzobisoxazole)」ですが、一般的には商品名の「ザイロン」と知られている繊維です。
防弾ベストにも使われるアラミド繊維のケブラに比べて2倍の強度と弾性率、難燃性を持っているが、日光、熱、湿気に露出されると強度低下の現す事が分かりました。2003年にはザイロンで作った防弾ベストが使用中強度低下の問題が起こって訴訟を起こすケースもありました。
つり用としては、ザイロン素材のジギング用のアシストラインが「Y」社から販売されているが、強度低下に対しては、ただ1日間釣りをする事位では問題ないようです。
 

*ベクトラン(Vecran®)
「ベクトラン」は日本で1990年商品化された高強力、高弾性の繊維です。高分子液晶ポリマーを繊維化した物で「ポリアリルレート(polyarylate)」または「全芳香ポリエステル」繊維とも呼びます。高強度、低吸水、優秀な耐磨耗性、耐熱性、無毒性、耐薬品性、などを持っていて漁網、スイミングプールのロープ、スポーツ用品、薬品容器、電気部品、カメラ部品、などに良く使えています。なおかつ、NASAの火星探査船の着陸用のエアーバッグ、成層圏フラットフォーム用飛行船にも使われて宇宙時代の繊維と有名になり、フィッシングラインに販売された時、宇宙繊維と言う広告コピも登場した事もありました。しかし、余り人気がなかったか。何時の間にか消えてしまって最近にはベクトラン素材のラインは見えません。



メージャー級の既存素材を改質、特別な名前を持っている釣り糸

 もう釣り人の間に広く特別な製品名で知られているラインと、新しく登場して名前その物ではその正体が分かり難いフィッシングラインがあります。

*ファイヤーライン(Fire line)
アメリカの「バークレー(Berkley)」の開発した特別なPEラインです。バークレー社は化学繊維釣り糸の黎明期から「デュポン」社と双璧をなすメーカーで1980年代から2000年代に渡って色んな釣り具メーカー(フェンウィーク、ABUガルシア、ミッチェル、など)を吸収して傘下にする巨大グループになりました。グループ名称も「ピュアーフィッシング(Pure fishing)」に変更して、デュポンの「ストレン(Stren)」まで吸収してしまってアメリカ内の釣り糸市場をほぼ完全独店しています。
ファイヤーラインは単純なPE合糸じゃなくて製造の時に熱を付けながら延伸する事によって細いPE束が一つに溶けてつくようにしています。これによって普通のPEラインの短所である柔らか過ぎる事、低過ぎる比重、キンクし易く事が解決できたと言うか結構良くなりました。即ち、適当に張りがあって比重も重くなって沈むラインになりました。しかし、強度が普通のPEラインに足りない事と表面が滑らか過ぎるので一般的な結び方では滑って解けてしまう事が新しい短所です。
最新発売の「ファイヤーライEXT」は、既存の熱処理ラインじゃなくて普通のPE合糸製品です。何気なく選んだら欲しかった熱処理のファイヤーラインじゃない失敗する恐れがあるから注意するべし。


*ナノダックス(Nanodax®)
「ナノダックス」は、日本の「エコラボ株式会社」が二酸化炭素流体を溶媒にした超臨界ナノ化技術で開発した分解性プラスティック樹脂のナノサイズ添加済の商品名です。説明が複雑が簡単に言えば、改質用の添加剤です。この添加剤を含有して強度を高くしたフィッングラインが同じ名前で出ています。
「ナノダック」と言う名前を持っているフィッシングラインの正体は、実はナイロン(ポリアミド)ラインにナノダックスが添加されその性質が変わった物です。原料状態のナイロンに添加されたナノダックスがナイロンの分子と分子の間に入って性質の変わる効果を表すのです。
その効果は、先ず、比重は普通のナイロンの同じですが延伸率がフロロカーボンと同じ位に伸びないので感度が良くなる事です。また結び時の結節強度も結構上がる事も知られました。以外にもライン本体の透明度が極に良くなる効果もあるそうです。即ち、普通のナイロンラインより非常に透明で伸度が低くて結び部分が切れない特質を持ってラインになります。
フィッシングラインとして製品が出ているにもかかわらず、「ナノダックス」に対しての効果はまだ検証されていません。結びの時、理屈的には低くなるはずの結節強度が高くなる効果などの原因究明及び他の物性テスト結果はまだです。ただ今研究中だそうです。
このナノダックス、自分がまだ使った事がないから本当にどうか全然判断できない状態です。実は去年、福岡で買おうと思っていたが、タックルショップに行った時、何故かすっかり忘れていました。
なので今まで未知数のラインです。後でも別にしてリポートします。

次回は最終回。未来のフィッシングラインを調べてみます。

ご期待ください。

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