10/25/2008

フィッシングラインの科学(2):ナイロンライン

釣り糸の科学第1回は、↓

釣り糸(フィッシングライン)に対しての小考2
ナイロン(Nylon)ライン

 昔、高校時代の化学時間へちょっと戻って行きましょう。分子だ原子だ言いながら脂肪族化合物、芳香族化合物と言う名称がかすかにでも覚えていますか。
 もちろんベテラン釣り人ならその時も釣りに一生懸命だったはずなのでもう頭の中から消えた知識で、また今の口凌ぎにも関係のない限り元から必要じゃない知識だが、フィッシングラインの原料を説明するには少し取り出してみることにします。
 一応、ある大きな分子の塊(もちろん電子顕微鏡じゃない限り見えません)をポリマー(Polymer、高分子または重合体)と呼ぶが、分子達がランダムに連結されているんじゃなくて程よく一例に長く連結されているのを「繊維」と言います。
 自然界には天然的に一例になっている繊維達(木綿、麻、毛、絹など)があって人間の着物や生活用品として重要に使えています。
 20世紀になって人間は実験室で化学的に繊維を作り出しますが、これが「合成繊維」です。合成繊維が発明されなかったら現在のような素晴らしいフィッシングラインは存在しないんです。なので何十㎏の巨大魚を釣り上げる事は夢にしかできない事、釣りと言う趣味も今のように発展されなかったと思います。構成繊維の無かったら何処行っても大物がうようよ泳いでいる釣り天国、自然保護は確実だったでしょう。

*人類最初の完全な人工繊維のナイロン
 人工的に繊維、特にシルクを作ろうとする熱望は19世紀の末、鋸屑のような木材やパルプからセルローズ(Cellulose、繊維素)を取り出して再生繊維(レイヨン)とか半合成繊維(アセテート)のような「人絹」を開発します。続いて石油化学工業から供給できる原料を使って完全な人工繊維を発明してしまいます。

 フランス革命を避けてフランスからアメリカに移転したデュポン(Dupont)は火薬とダイナマイトの製造と販売でお金を稼ぎでいました。デュポンはもっと人間的な新しい科学分野の開発のため基金を準備して研究責任者に「ウォリス・キャロダス(W.Carothers)」を任命します。彼の研究陣は10年間の研究の後、1937年に人類最初の完全な合成繊維のポリアミド(Polyamide)系の繊維の発明を公表して「ナイロン(Nylon)」と名前を付きました。そして、1939年末にナイロンを使った靴下を最初に作りますが、第2次世界大戦が起こってしまって発明当時には人々にはアピールできなく、軍用としか使われませんでした。しかし、このナイロンの発明は戦争の終わった後、様々な合成繊維の発明の起爆剤になりました。
 日本は1951年から 韓国は1963年から本格的なナイロン原糸生産が始まります。
 このように実際「ナイロン」はアメリカのデュポン社の商品名だが、人間の生活史を変えるほどの画期的な発明品だったので、他の質の違うポリアミド系の合成繊維が次々と登場して色々名付けされているにもかかわらず、ポリアミドと言う名称の代わりに商品名の「ナイロン」が代名詞として使われています。

*繊維としてのナイロン
 ナイロンを化学的に表現すると炭化水素基(CH2)をアミド基(CONH)で結合させて一例に繋がった線状ポリアミドです。キャロダスが初めてナイロンを作った時は石炭から取り出したベンゼンなどの化学物質を使ってナイロンを製造しました。
 合成繊維の特徴は色々ありますが、その形をわがままにして作られる事もその一つです。断面が丸い一般的な形以外にも角形(異形断面糸)とか中が空いている形(中空糸)とかに加工できます。着物用の糸はもちろん釣り糸にもそんなのはあります。
ナイロンの顕微鏡写真(側面と断面)
異形断面糸(側面と断面)
中空糸(側面と断面)
 参考として、ナイロン分子の中に入っている炭素(C)原子の結合状態によってナイロン66、ナイロン6、ナイロン610、ナイロン12などなどに分かれます。今も続いて新しいナイロンは開発されているが、普通の生活に良く使われているのは「ナイロン66」と「ナイロン6」が殆どです。名前に見える番号は単位分子に中に入っている炭素の数です。
ナイロン66とナイロン6
 
 ナイロン6・6の化学式       ナイロン6化学式

*つり用ナイロンラインの登場
 第2次世界大戦の後、ナイロンが直ぐフィッシングラインに使えたかと言うとそうでもありません。1948年にイギリスから特許出願された「ポリエステル(Polyester)」繊維―現在も合成繊維の総生産量の半分に届く―の急速な発展がありました。デュポン社はその特許を借りて「ダクロン(Dacron)」と言う商品名でポリエステル繊維製品を製造販売します。その時、合糸に作られたこのダクロン糸がフィッシングラインとして人気でした。それからまた10年後の1958年、デュポンは「ストレン(Stren)」と言う会社を設立して本格的にナイロンモノフィラメントフィッシングラインを発売して釣り業界に大事な変化を起こります。ナイロンは初めての合成繊維だけど最初の合成繊維フィッシングラインにはなりませんでした。ナイロンモノフィラメントフィッシングラインが公式的に販売されたのはおよそ50年になります
ストレンのナイロンライ

*ナイロンラインの物性及び長所と短所
 ナイロンは主にストキング、水着、スキーウェアーなどのスポーツウェアー、エアーバッグ、または混紡用の短繊維に使えたり穂なの原料と混ぜてエンジニアリングプラスティックで便利に使えます。次に書いたナイロンの一般的な物性はナイロンが一番大衆化された釣り糸になった訳でもあります。
 1、天然繊維に比べて引っ張り強度と摩擦強度が高い事
 2、適当な伸縮性があり柔らかくて低温でも余り硬くならない
 3、反応性がよく色んな薬品による加工(染色など)が易い
 4、熱セット性があって糸の伸縮加工ができる事
 5、吸水性がある
 6、長い期間使用すると黄変し易い
 このように、ナイロンフィッシングラインは現代の他の素材のラインに比べて低価格ながら普通以上に強くて摩擦にも丈夫で消耗品としてのフィッシングラインに適合な特性を持っています。また真冬のマイナス気温でもその柔らかさを失う事が無いし、多様な色で染められる事と表面加工はもちろん伸縮性もある位は調節できるので釣りジャンルに合わせて製造も選択も出来ます。以外に断面が丸形じゃなくて角形とか中を空くとか特別な加工も出来ます。しかし、水を吸収して強度が落ちる事と長持ちできない事はフィッシングラインとしてはマイナス要所です。

*ポリアミド系の他のフィッシングライン
 ベンゼンのように特別な香りのある物質を「芳香族高分子」と言います。ナイロン(Polyamide)の分子内にこの芳香族高分子が鎖形に組み立てているのを「全芳香族ポリアミド系樹脂」と呼びますが、香りと言う意味のアロマ(Aroma)とアミド(Amide)を合わせて「アラミド(Aramid)樹脂」とも呼びます。アラミドは一部の成分の変わったナイロンだと見ても良いでしょう。
ケブラーの化学式

 アラミドには何種類があるが、分子内の鎖構造の陰ですべてが強靭で熱に強い特徴が見られます。種類によって耐熱性の良いのは耐熱材、防火服、パイロッドの操縦服、消防服に使えるし強度の良いのは色んな補強材料として使えます。アラミドの中、強度の良い「ポリパラペ二レンテレフタルアミド(poly-p-phenyleneterephthalamide)」をアメリカのデュポンから1974年に製品化して「ケブラー(Kevlar)」と言う名前を付けて販売しました。
ケブラーで作ったテニスラケットラインとつり用ハリス
 ケブラーは鋼鉄より5倍も強い引張強度で防弾ベスト、レイディアルタイヤ用タイヤコード、ヘルメットなどに使えます。例としてケブラー糸で編んだ手袋は包丁で切っても傷一つも付きません。
ケブラーで作った手袋

 こんな新素材を釣りに使わない訳はないでしょう。合糸のケブラーフィッシングラインは歯の鋭い石鯛などの釣りのハリス、ジギングのアシストラインに人気が高いです。ただ、ケブラーもナイロンいや、ポリアミドなので短所は残っています。苛性ソーダのような濃いアルカリに弱くて紫外線にも弱い。もちろんケブラーハリスをわざと苛性ソーダー液に漬ける事はないが、強い日差しには十分注意しましょう。強靭なケブラーハリスだからと過信も良くないんです。1日中日差しの強い磯で使ったら直ぐ交換すべし、保管は暗い所です。

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